我々の発展は錬金術師たちの研究成果によるところは周知の事実。
錬金術では金を作り出すことはできなかったが、それに付随した多くの発見をもたらした。
宇宙人研究もそうなのである。
確かに荒唐無稽だ。もしかしたら宇宙には人間以外いないのかもしれない。
私はそれでもいいと思う。ありえないが。
もし研究の果てに宇宙人が存在しなかったと判明したとしよう。
そのあいだに様々な複製の研究開発があり、発明もありえるだろう。
錬金術師のように金は創り出せなかったが、副次的な資産を残すことができるのだ。
これを私は期待している。
しかし、たかだか太陽系からも飛び出せず、たった4,3光年先の恒星系にも行けず、はたまた月面基地未完成――火星にさえ人類を送り込めない原始人に何をえらそうなことが言えようか。
そう宇宙の広大さから見れば人類など、せいぜい三葉虫程度にしか進化していない。
宇宙のあらゆる場所へ移動可能になって初めて宇宙を知ったことになるのだ。
それを宇宙人うんぬんかんぬんと言えるがらではない。
そう――人間はまだ目を開いていないのだ。生まれたての赤ん坊だ。
太陽系でさえかすんだ目でしか見れないではないか。
